分科会 Subcommittee

知財教育分科会

<オンライン開催> 第78回知財教育研究会(2025年6月15日開催)

 知財教育分科会は、満18年が経過し、まさに青年期にあります。2025年度は、二十歳に向けて新たな目標をもち、知財教育学の永続的な発展に資すため、教育学の研究体系の中で「知財教育学」を構築し、確立することが目下の最大の活動方針であります。近年はSTEAM教育など隣接する分野も散見される一方、知財学会の分科会として「知財教育」の普遍的な普及推進・教育研究が重要であると考えています。
 学校教育をめぐっては、各教科の授業のほか、小中学校においては「総合的な学習の時間」、高等学校においては「総合的な探究の時間」や、大学入試共通テスト教科情報おける知財関連の出題、「高等学校DX加速化推進事業」(DXハイスクール事業)などの新しい動きが見られ、知財教育研究を構成する様々な教育研究者・実践者の参画が期待されます。
 こうした背景をもとに、第78回知財教育研究会には、多数の皆様の発表・参加をお待ちしています。

【日時】 2025年6月15日(日)9時30分-12時30分(予定)
【場所】 オンライン開催 (実施拠点:東大寺学園中学校・高等学校)
【共通テーマ】 知財教育研究
【内容】知財教育に関する研究・実践報告
「解釈の食い違いから考える中学校著作権教育の一考察」 
 𠮷田 拓也
(東大寺学園中学校・高等学校)
著作権法における「権利制限規定」について学ぶ中で、第三十条(私的使用のための複製)を取り扱った際、教員と対象生徒の間でその範囲に関する解釈の食い違いが生じた。単に教員がもっともらしい解釈を提示するだけでなく、対象生徒が知識を理解することに留まらず、主体的に考えられるようにすることが重要であると考えた。そこで、生徒が思考を深められるような時間を設けたり、ワークシートを活用した実習を取り入れたりすることで、思考力・判断力・表現力を養う授業を考案し、実践した。

「『知財創造教育』を小学校現場に普及・浸透させるためにXV ~教育と福祉の可能性~」 
 栁瀬 啓史
(元小学校教諭)
小学校段階における「知財創造教育」は、その領域や分野がまだ確定されておらず、模索状態にある。しかし逆に考えれば、内容・方法・教材等には無限の可能性を有していることも意味する。発表者はこれまでに、児童・生徒一人ひとりが「創造的価値ある存在」であるという視点から授業を重ね、本教育普及・浸透の課題を少しずつ検証してきた。一方、我が国における少子高齢化の深化は、社会福祉対象者への支援内容の複雑化と、それらを実践・学習する支援者の現象という現実的な課題を生み出している。当然、今後の公教育の在り方に反映されなければならない。福祉と教育は分割された分野ではなく、包括的に考察しなければこの課題には応えられず、そのポイントに本教育の可能性を置きたいと考える。次世代社会に反映できる本教育の普及・浸透について考察していきたい。

「中学校技術科の『B生物育成の技術』における種苗法を題材とした授業実践について」
 渥美 勇輝
(三重県鈴鹿市立天栄中学校)
「中等教育段階における知財創造教育の推進に資する教材に関する調査研究報告書」に示された教材モデルをもとに、種苗法を題材とした教材を開発、授業実践を行った。知的財産に関する意識調査を行ったので、その結果を報告する。

「高等学校情報科における著作権教育と生成AI活用:高大比較による意識変容の検討」

 野村 侑暉(名古屋文理大学 大学院 健康情報学研究科院生)、
 長谷川 聡・世良 清(名古屋文理大学)
生成AIの発展を踏まえ、高等学校情報科「情報Ⅰ」において、著作権と生成AIの関係について考察させる授業を実施した。授業は、著作権の基本的な構造の解説、著作物の定義に基づく創作性の分類ワーク、生成AIの仕組みの解説、AI生成物の著作物性を判断する演習、関連訴訟や文化庁見解の紹介、プロンプトに加筆して創作を行うワークなどで構成した。授業の前と後にアンケートを実施し、AI生成物が著作物に該当するかどうかの認識、有名キャラクターに類似した生成画像の公開の可否、生成AIの活用経験、生成AIの利用が創造性・思考力・表現力の養成につながると思うかなどを尋ねた。自由記述から、生徒の判断根拠や、気づきによる意識の変化も分析した。また、大学生を対象に同様の調査を行い、世代間の認識を比較した。本報告では、実践した授業の内容と、受講生へのアンケートの結果を報告する。

「知的財産教育におけるAI&データの活用 について」 
 杉浦 淳
(大阪工業大学知的財産学部)
日本においては、AIが作成した創作についての発明成立性や著作物性の議論が進められており、2025年5月28日AI推進法が2025年5月28日成立している。また、EUでは、生成AIの普及以降、EU AI法に代表される、AI事業者固有の役割を明確化する規制法が形成されつつあり、さらに、AI開発の基盤となるデータの扱いについては、GDPR(欧州の個人情報保護法)に加えて、EUデータ法が2024年に発効している。AI及びデータの扱いは急速に変化しており、今後の経済社会において大きな影響を及ぼすものであるところ、知的財産教育においてAI及びデータの扱いについて、どのように取り組むべきかについて、現行の知的財産法との関係を踏まえて、考察を試みる。
【発表者・参加者募集】
発表参加をご希望の方は、2025年5月16日(金)までに、
一般参加をご希望の方は、2025年6月13日(金)までに、
下記の入力フォームに記入して送信してください。受付通知が自動送信されます。しばらくたっても届かない場合は、ご自身のメールアドレスが誤入力の場合が考えられます。その際は再度お申し込みください。
 ⇒ (入力フォームへ)

 <第78回知財教育研究会申込内容>
  1.名前
  2.所属
  3.役職
  4.電話番号
  5.メールアドレス(必要に応じて第2メールアドレスも)
  6.発表演題(発表申込の場合)
  7.要旨(発表申込の場合、200~400字程度)
  8.その他連絡事項等
【参加資格】
どなたでもご参加いただけます。
日本知財学会への入会・知財教育分科会への登録を推奨します。
【参加費】 無料 、事前参加申込制
【発表者へのお願い】
発表時間は概ね20-30分をめどに、発表数に応じ目安の時間をお知らせします。配布物は事前に分科会事務局までPDFファイルでお送りください。参加者に配布します。PPTスライドは発表者のパソコンで操作していただきます。
【その他】

① 発表者・参加者は、各自、インターネットに接続できる情報機器をご用意ください。

 ご希望に応じて、事前にテスト実施の機会を設定することも可能です。

② 著作権等に関わる運用規定は別途定めます。

③ 発表・参加申込にかかわる個人情報は知財教育分科会活動にのみ使用します。

【これまでの知財教育分科会の活動】
https://www.ipaj.org/bunkakai/chizai_kyoiku/index.html
【お問合せ】
お問い合わせは、知財教育分科会事務局までお願いします。
E-mail: ipaj.edu(アットマーク)gmail.com (知財教育分科会事務局)
※(アットマーク)を@に変換して送信してください。