学会誌・資料 Journal

日本知財学会誌 第6巻第1号掲載

独占禁止法によるライセンス規制に関する経済分析 ―植物新品種の開発市場に関する考察
Economic Analysis on License Restriction by Antimonopoly Law: Consideration Concerning Development Market of New Plant Varieties


野津 喬
Takashi Nozu

日本知財学会誌 Vol.6 No.1 p.67-82(2009-11-20)
Journal of Intellectual Property Association of Japan Vol.6 No.1 p.67-82(2009-11-20)

<要旨>
2007年9 月に公表された独占禁止法上の指針では,技術に係る知的財産の利用許諾契約において,ライセンシーの研究開発を制限する契約条項を設定する行為は,従来から対象となっていた特許・ノウハウに加え,育成者権等の他の知的財産についても「原則として不公正な取引に当たる」とされた.本論文では,育成者権特有の要因を踏まえた契約理論的分析によって,育成者権の利用許諾契約における研究開発制限条項の設定を不公正な取引として扱うことは,競争阻害効果をもたらす可能性があることを示すとともに,パネルデータを用いた計量分析によって,植物新品種の開発市場において研究開発制限条項を含む利用許諾契約を締結する慣行が定着していることは,むしろ競争促進効果をもたらしている可能性があることを示すことにより,育成者権の利用許諾契約における研究開発制限条項の設定に対する独占禁止法の適用については,慎重に対応すべきことを提言する.
<Abstract>
By the guideline of Antimonopoly Law, it is basically considered to be anti-competitive that the licenser limits the licensee’s research and development on the license agreement of the plant breeder’s right.
This thesis shows the possibility that this limitation promotes competition in the opposite of the guideline of Antimonopoly Law, by the theory analysis and the quantitative analysis.

<キーワード>
独占禁止法,育成者権,利用許諾契約,研究開発制限,農業者の自家増殖
<Keywords>
Antimonopoly Law, Plant Breeder's Right, License Agreement, Limitation of Research and Development, Farmer’s Private Proliferation