学会誌・資料 Journal

日本知財学会誌 第5巻第1号掲載

特許の無効性に影響を与える要因の分析
An Analysis of Factors that Influence the Invalidity of Patents


新山 隆一
Ryuichi Niiyama
日本知財学会誌 Vol.5 No.1 p.94-104(2008-8-20)
Journal of Intellectual Property Association of Japan Vol.5 No.1 p.94-104(2008-8-20)

<要旨>
特許権は成立した後も無効になる可能性があるという不安定な性質を有し,この不安定さは特許権の存続期間中完全に排除されることはない.そして,この不安定さのために独占排他権であるはずの特許権が,いざ活用しようとした段階になって無効となってしまうと,事業戦略に支障をきたすことにもなりかねない.本論文は,企業が特許戦略を遂行する上で必要不可欠である特許無効リスクマネジメントに役立つ知見を得るために特許の無効性に影響を与える要因の分析を試みるものである.分析には順序プロビットモデルを用い,特許の無効性に影響を与える可能性のある要因のうちどの要因が統計的に有意となるかを調べた.その結果,特許出願時点での先行技術情報の把握度合いが高いほど特許が無効となりにくいことが検証された.特許リスクマネジメントとして投下する経営資源の配分を先行技術情報の収集・管理に対して重点的に行うことが効率的であるといえよう.
<Summary>
Patents have an insecure property that they could be nullified even if they were granted, and the insecurity can't be eliminated completely during the patent term. If the patents are nullified at the time they are utilized, they can interfere with business strategy because of such insecurity, although patents should be exclusive rights. In consideration of these points, this paper tries to analyze the factors that influence the invalidity of patents in order to obtain knowledge to help companies manage the risks of invalidation of patents.

<キーワード>
特許,無効,リスクマネジメント,順序プロビット
< Keywords>
Patent, Invalidity, Risk Management, Ordered Probit