学会誌・資料 Journal

日本知財学会誌 第15巻第2号掲載

知的財産高等裁判所大合議判決「一太郎事件」の研究
─とくに,間接の間接侵害の否定例という点を中心として─
Case Study of Intellectual Property High Court Decision of “Ichitaro Case”

角田 政芳
Masayoshi Sumida

日本知財学会誌 Vol.15 No.2 p.5-13 (2018-12-20)
Journal of Intellectual Property Association of Japan Vol.15 No.2 p.5-13 (2018-12-20)

<要旨>
本稿は,知的財産高等裁判所の大合議による初めての判決である知財高判平成17.9.30判時1904号47頁「一太郎事件控訴審判決」(以下,「本件判決」という.)を研究するものである.本件判決は,この日本知財学会誌の特集号として,最初に取り上げるべき重要な判決であり,とくに,特許権の非専用品の「間接の間接侵害」に関する判示部分は,理論上はもとより,実務上も大きな影響を与えるものであり,学会と実務界双方から賛否両論が表明されている.
本稿は,本件判決の研究ではあるが,本件判決が示した「権利行使制限の抗弁」と「非専用品の間接侵害」のうち,後者について,その先例としての拘束力を生じているのかどうか,そしてそこに潜んでいる課題を検討するものである.そして,本件判決は,文書作成プログラムとして著作権のある著作物である「一太郎」の譲渡権行使としての販売行為が,特許権の間接侵害に当たるかどうかを問題とした点で,著作権対特許権の抵触の事例でもあることを指摘した.
<Abstract>
This study is a Case Study of Intellectual Property High Court Decision of September 30,2005 “Ichitaro Case”. This paper examined whether the judgment of “indirect infringement of multi-functional goods” in this case is binding force as precedent.

<キーワード>
非専用品の間接侵害,プログラムの間接侵害,間接の間接侵害
<Keywords>
Indirect infringement of multi-functional goods, direct infringement of Computer program, Concept of indirect indirect infringement