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TOP分科会知財ビジネス分科会2003.10.11

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知財ビジネス分科会
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第2回研究会開催のお知らせ
いつもお世話になっております。
日本知財学会 知財ビジネス分科会 担当座長の三好です。

日本知財学会 知財ビジネス分科会では、下記要領で第2回研究会を開催します。
今回のテーマは、「知的財産の価値評価」です。参加ご希望の方は、下記申し込み先までお申し込みをお願い致します。

なお今回は、知的財産マネジメント研究会(smips)との共催で行います。

■日 時:2003年10月11日(土) 15:00〜17:00
■共 催:知財新領域研究分科会
■場 所:東京都目黒区駒場 4-6-1 東京大学先端科学技術研究センター13号館、3階 講堂
小田急線 / 営団地下鉄千代田線 東北沢駅より徒歩7分 代々木上原駅より徒歩12分
井の頭線 / 駒場東大前駅より徒歩10分 池の上駅より徒歩10分
(詳細は、 <こちら>をご参照下さい)
テーマ 「知的財産の価値評価」
内容 15:00-15:05 知財ビジネス分科会と研究会のご紹介
15:05-15:35 基調講演:野村リサーチアンドアドバイザリー 山本大輔様
15:40-16:40 パネルディスカッション(山本様に加え2,3人程度)
16:40-17:00 質疑応答、名刺交換など
17:00 閉会

■定 員 :60名(予定)
■参加費用:無料
当日、学会入会手続きも受け付けております。個人年会費は10,000円(学生5,000円)となっております。この機会に是非ご検討ください。
■参加申込:資料の準備等がありますので、10月8日(水)までに下記サイトまたはメールにてお申し込み下さい。
お申し込みはこちら
上記申し込みフォームを参照できない方は、本メール末尾のフォーマットにご記入の上、担当までメールをお送りください。

参加申込
下記アドレスまで必要事項記載の上送付ください。

【申し込みメール内記載内容】

<第2回研究会 参加申込書>
1. お名前
2. 所属(組織、会社名等)
3. 電話番号
4. メールアドレス

【お申し込み(お問い合わせ)先】
ipaj-IPRBiz@egroups.co.jp (担当/三好)



日本知財学会 知財ビジネス分科会 第2回研究会 議事録

・日時:2003年10月11日
・場所:東京大学先端科学技術研究センター13号館3階講堂
・共催:知的財産マネジメント研究会
・テーマ:「知的財産の価値評価」

基調講演(30分)
「技術(特許)の価値評価 〜経済的価値評価の必要性を考える〜 」
野村リサーチアンドアドバイザリー 山本 大輔 様

知的財産の価値評価について、技術的な知的財産(特に特許)に焦点を絞った立場から、(1)知的財産の経済的価値評価の必要性、(2)代表的な評価手法の概略とその長所・短所、(3)技術開発型ベンチャーの評価の取り組み例についてご説明いただきました。

(1)知的財産の経済的価値評価の必要性
企業の研究開発に関連する投資、提携、撤退の意志決定を的確に行うには、従来行われてきた知的財産の技術的・法的な評価だけでは不十分で経済的な評価が必要となる。また、産業政策上も経済的価値評価の要請がある。たとえば、大企業所有未使用特許の技術移転、技術型ベンチャー企業の資金調達、大学技術の技術移転の際に経済的評価が必要となる。

(2)代表的な評価手法の概略とその長所・短所
ビジネスプランの有無により評価手法が異なる。つまり、DCF法の性質上、ビジネスプランがあれば適用可能であるが、なければDCF法では評価が困難で他の方法を使わねばならない。なお、米国では未利用特許が生み出すCFはおおよそ正規分布に従うという統計的データがあり、未利用特許については統計的に分布の期待値を価値とする方法が考えられる。また、特許を放棄する権利をAbandon Optionと考えオプション理論を応用した評価も可能である。
ビジネスプランの確度に応じて技術価値が対数的に上昇する。また、ビジネスプランの進捗度合いによって採用すべき評価手法が異なる。
DCF法による評価では、企業全体のCF→特許を排他的に使って特定製品を生産した場合のCF→知的資産の生み出すCF→特許の寄与分を按分という流れで、企業全体のCFから特許のCFへブレークダウンし、そのCFを現在価値に割り引く。フリーCFに対する特許および技術力の寄与度を考える際には、ブランドや営業力との按分が難しい。技術力の寄与としては、特許以外に、製造ノウハウ、研究開発資本力の寄与なども含まれる。また、製品の発売当初は技術の寄与が高くても、次第に他の知的資産(ブランド・商標など)に価値が転化するケースも見られる。たとえば、ソニーのウォークマンは発売当初は、部品実装技術の高さが評価されていたが(技術の寄与度大)、現在では多くのメーカーが同サイズの同性能の製品を出しているにも関わらず、ソニー製品の利益率が高い。これは、技術の価値がブランドに転化した一例である。
特許評価の問題点として、個別特許の価値評価が困難であること、技術革新により従来特許の価値が減価、消滅するリスクがあること、法的なリスクの定量化が困難なことが挙げられる。
業界別の特徴として、製薬業界の特許(物質特許)は価値評価しやすいが、エレクトロニクス業界の特許は相対的に難しい。これは、1)エレクトロニクス業界には多数の特許が製品に関連する、2)クロスライセンスの慣行があり価値が顕在化しにくい、等の理由による。ただし、今後は、出願分野が絞られてきていること、特定技術に特化したベンチャー企業の出現によりクロスライセンスの慣行が崩れる可能性があること、などの理由からエレクトロニクス業界でも評価が必要になってくるという見通しを持っている。
未利用特許の価値評価では、ビジネスプランの有無、クロスライセンス対象となるか否か、などの観点から評価手法を使い分ける。

(3)技術開発型ベンチャーの評価における評価の取り組み例
技術開発型ベンチャーの評価を行う際には、ブランド、営業力等の寄与が僅少であるため、フリーキャッシュフローに占める技術力の寄与の割合を決定しやすく(ほとんど全てとおいてよい)、技術評価を行いやすい。
野村グループによる取り組み・・・定性的アプローチと定量的アプローチとの融合。
第一フェーズ:定量的アプローチ(データベース検索技術による評価)
→第二フェーズ:定性的アプローチ(アナリストによる個別ビジネス評価)。

パネルディスカッション
パネラー:
山本 大輔さん(基調講演から引き続き)
鈴木 公明さん(特許庁)
佐藤 公司さん(ボーダフォン)
モデレーター:
三好 陽介(知財ビジネス分科会担当座長・ビジネスIPR戦略知財分科会)

1.ショートプレゼンテーション(鈴木氏):
「知的財産・経済価値評価の効用 −ダウ・ケミカルのIAM」
今回のプレゼンに臨む基本的スタンスとして、
・技術を評価対象とする
・経済的評価手法としては基本的にはDCFが妥当する
・どの手法を用いてもグレーゾーンが残るため、第三者による検証可能性の向上が課題
という点を表明して頂いたのち、事業法人における価値評価の成功例としてダウ・ケミカルのIAM(Intellectual Asset Management)をご紹介して頂きました。ダウ・ケミカルの事例は古典的ではあるが先駆的な事例として今でも示唆に富むとのことです。

(ダウ・ケミカルの事例)
IAMの目的とモデルのご紹介。IAMモデルは6つのフェーズに分かれ、フェーズ4で経済価値評価を行う。
経済的価値評価の目的には、プロフィットセンターの内部的意思決定、ライセンスアウトの契機、維持コストの削減、をご説明。
ダウが採用した評価手法として、アーサー・D・リトルのTechnology Factor法をご紹介。TF法の3つの特徴、概要(技術価値=[テクノロジーファクター]X×[CFアナリシス])、評価結果の例、定性評価を定量化する手法についてご説明。定量評価の結果は、各部門の責任者のコンセンサスを得て55%と決定された。
IAMの成果として、ポートフォリオ維持費に関するコスト削減、ライセンス収入の増加という効用があったことをご説明。

2. ショートプレゼンテーション(佐藤氏):「DCFリファインに関する私見」
佐藤氏の基本的スタンスとして
・技術的な資産を評価対象として考えている。
・定性的な評価よりも定量的な評価に軸足を置いている。
・評価手法はDCF法を基本とする。
・訴訟における損害賠償額も評価額として考えている。
という点を表明して頂いた後、DCF法による価値評価の問題点とその問題点を解決するためのリファイン案についてご説明頂きました。

(プレゼンテーション内容)
現状のDCF法:NPVの現在価値を算出し特許の寄与度を乗じるというアプローチをとるが、その問題点は:
1)寄与率が不明確。全てαに落とし込んでよいのか?
2)ロイヤルティ収入の扱いが不明確。単純に収入と扱ってよいのか?
3)侵害訴訟による賠償金の扱い。逸失利益なので収入として扱うのが妥当。
4)リスク分析の不在。無効化のリスクを割引率に落とし込んでよいのか?
リファイン案の基本モデル:αを細分化して定義。
知的財産の価値=
[NPVの現在価値]−[予測損失の現在価値(自己実施+ロイヤルティ収入+侵害訴訟で得た賠償金)]−[無効等による訴訟リスク]
※無効等のリスクとは、第三者からの侵害訴訟リスクに帰結すると考えている。
自己実施における寄与率の考え方
1)特許・著作権の貢献度を権利の種別ごとに考慮する。
2)特許群としての貢献度を考慮する。
3)特許の寄与率を個別に考慮する(発明者補償の算定などに有用では?)
寄与率分析のイレギュラーケースとして、特定の特許が複数の事業収益に貢献している場合は、それぞれの事業収益における価値評価を個別に行って合算する形となる。
評価コストを削減するための単純化モデルの提示
まとめ:特許実務家と会計実務家のコラボレーションによってより良い評価手法を模索していきたい。

3.パネルディスカッション
1.自社利用の場合には評価はそもそも不要ではないか?
(山)たとえ自社利用に留まるとしてもIRの観点から必要となる場合もある(オムロンの例)。
(佐)維持放棄判断等を知財に閉じた実務と考えれば、評価がなくとも判断は十分に可能である。ただし、知財業務を外部から評価するためには定量化が必要と考えている。
(鈴)ダウ・ケミカルのケースを例に説明すれば、ダウ・ケミカルでは評価を行うことによりコスト削減を実現した。また、価値評価を行ったことがライセンスアウトを行う契機となった。

2.価値評価特にDCF法はコストが大きく、現実的に利用は難しいのではないか?
(山)DCFには、評価の前提となる多くのデータが必要であり評価コストがかかる。現場(たとえば個々のライセンス交渉)ではDCFにより評価を行う必要を感じないかもしれないが、経営の視点からはコストをかけても評価を行わなければならない場合も多い。結局、DCFがなじむ部分となじまない部分を切り分ける必要があるのではないだろうか。
(佐)現在はコストが高いが将来的にはコスト低減が可能ではないだろうか。
(鈴)コストは高いが経営陣からのトップダウンであれば実施可能。オムロンはNY市場への上場を視野にいれてトップダウンの指示のもとに評価を行った。社長の理解を得て初めて算出に必要なデータが集まったと聞いている。

3.DCFは有用である一方高コストであるためDCFの評価対象とするものとそうでないもの切り分けが必要ではないか?その切り分け方法、切り分けを行う視点をどのように考えているか?
(山)まず、ビジネスプランがあるかどうか。ビジネスプランが想定できないものにDCF法は使えない。また、顧客の必要な技術(個別特許)を抽出するために大雑把な判断をある程度コンピュータで検索する技術を現在グループ企業で研究中である。明細書においては言い回しの違い、用語の違いなどから人間が見ないと正確に技術内容は評価できないというのが今までの常識であった。しかし、同一技術分野の多くの明細書をコンピュータに読ませ、学習させる(AI的な手法)ことで対象となる技術を絞りこむことが将来可能になると思う。もちろん最後は人間のチェックが必要だが。
(佐)コンピュータによるリスク分析など、処理の自動化は可能と考えている。米国には、特許庁の審査がきちんと行われているかどうかを監査するため、審査官の出した引用文献とソフトのはじき出した先行技術文献を比較することが過去に行われ、後者のほうが精度が高かった事例があると聞いている。

フロアからの質疑と応答
(質問1)バイオベンチャーの評価について
ロイヤルティ方式の具体例は?DCFと双方の評価をしたことがあればその差分はどの程度か?
(山)バイオベンチャーに関してはDCFを用いる。特許とビジネスとの関係が把握し易いためである。ロイヤルティ法はチェックに使っている。ロイヤルティのデータ収集には米国のデータベースを用いることができる。バイオベンチャーの評価においてはロイヤルティ法によるチェックを併用するようにしている。

DCFのディスカウントレート(割引率)について他の業界との違いがあるか?
(山)研究・開発フェーズによって異なるディスカウントレートを設定。バイオベンチャーの評価では、フェーズが進む毎に割引率を下げておりフェーズUをクリアしたかどうかは一つの重要なポイントとなっている。

(質問2) 陳腐化のリスクとディカウントレートについて
特許権の存続期間とディスカウントレートの関係は?期間が長い場合の取り扱いはどうか?
(山)業界によって異なる。医薬品はほぼ権利期間全てにおいて特許の効用が得られる。一方、ハイテク業界は競合技術が多い、技術革新が早いなどの理由からたいてい5年以内で競争優位期間はなくなると見ることが多い。その場合は、設備やノウハウ等の残存価値がほとんどゼロになると考えている。

(質問3) 評価コストについて
社内で評価を行う場合は人件費が固定化されているが、企業が外部のコンサルタントに高額の料金を支払って評価を依頼するのか?ビジネスとして成立するのか?
(山)日本には価値評価に対してお金を払う風土がない。しかし、制度上必要になるケースがある(例:寄附→第三者の評価が必要。税務上の問題で評価が必要になる場合。)全社的なコンサルティングとセットで料金を支払って頂くモデルも考えられる。

(質問4) 裁判所による債務者保有の特許権の評価について
債務者保有の特許権の評価を弁理士会で行ったが会計事務所の評価と5〜6倍異なった。特許の寄与率の判断が異なったことが主な原因であった。弁理士は法的リスクを考慮して特許の寄与率を低めに判断しがちである。特許の寄与率についてどのように評価に落としこむのか?
(鈴)事例の集積により関係者のコンセンサスによるに相場観が育つのを待つしかないのではないか。現状確立した手法はない。
(佐)判例の傾向から基準を抽出するというアプローチを取りたい。ただし、現在は判例自体があいまいな基準を用いている。
(山)裁判所による評価のケースは必ずしもDCFがなじまないと考えている。過去の判例を参考にする方法が主流なのではないか。ケースにもよるが、特許保有債務者が、当該特許と関連するビジネスプランを持っているケースは少ないと予想されるのでその場合、DCF法は適用できない。債務者がビジネスプランのない個別特許をバラならと保有しているのであれば、産業毎に平均的な(妥当な)ロイヤルティを用いる等の簡便な方法が望ましいのではないか。

以上(文責 三好/ 山内/ 村越)

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